2010.05.08

素人ジャーナリズム

シンクロニシティって信じますか?
胡散臭い出だしですがw、わりと信じる方です。
さて、暇を見つけて撮り溜めた映画を消化しているわけで…
今回見たのは
「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」
「クローバーフィールド」
の二本。
ダイアリー〜は
2007年のトロント映画祭出品 2008年公開
クローバー〜は2008年公開ってことで、当時流行ってたんですかね?
どちらも映画の中に撮影者が存在する構成ですた。
でも、先駆け的なブレアウィッチってだいぶ前だすなぁ。
2008年時に、続けて見に行った人は私同様イライラしたことだと思われますw。
もともと両方、同時期に作られ、wowowで同時期に放映したものだし、シンクロでもなんでもありませんw。
『ダイアリー〜』は
大学の映画学科の学生達が卒業制作の映画を撮影中に、ゾンビが蔓延し出すというところから始まり、
もともと監督志望の学生がジャーナリストとしての使命感に取り憑かれて記録し始める。
『クローバー〜』は
主人公の送別パーティーの途中で怪獣がやって来ると言うところから始まり、パーティーのビデオ係を押しつけられた親友が、いつのまにか芽生えた記録しなくてはならないという使命感で撮り続ける。
ほぼ同じですがw、軍配を挙げるなら、映画科の学生という陳腐な設定ながら「ジャーナリストは傍観者でしかない」という命題をねじ込んできた『ダイアリー〜』だすなぁ。
小型ビデオとYouTubeなどの投稿メディアによって、素人もジャーナリストという傍観者と化し、現場に居ても、ただ見ているだけの存在となってしまう。
現実でも少し前に、事故現場で救助もせずに惨状を携帯のカメラに収め続ける人々が話題になりましたが。そういうことなんでしょうなぁ。
『ダイアリー』の撮影者は、友人が襲われていても、ただ記録し続け、バッテリーの為に危険を冒す。
ジャーナリズムという大義名分を掲げるけど、それはちょっと狂っていないかという葛藤。
傍観者であることの呵責。
ファインダーを通すことで薄れる現実感、恐怖心。
YouTubeでたった10分のあいだに、何十万ヒットだ!という興奮と功名心からの高揚。
宗教的にも感じられる使命感。
なかなか深く仕上がっております。
『クローバー』の撮影者は成り行きでカメラを持ってしまったジャーナリストでもなんでもない若者ですが、まさにYouTube世代なんですな。YouTubeちう言葉こそ出てきませんが、だれかに見せる記録としてカメラを回し続ける。
カメラを捨てろ!といわれて「でも、記録しなきゃ!」という心理はちょっと判りかねるっすが、ファインダーにはそんな魔力があるんでしょうか。
てか、人類が滅亡したら記録いらなくね?
と両作品ともに思ってしまうのです。彼らは人類の存続を信じているのですかね。アメリカ市民のそういうポジティブな考え方はちょっと偉いと思います。時に迷惑ですが。
で、どっちが面白かったかというと『ダイアリー』ですわ。
ゾンビ好きだからじゃないと思います。
というか、『クローバー』酷すぎますw
冒頭、20分も!
主人公が会社の副社長になって日本にいっちゃうからお別れパーティーするよ〜という、どうでもいい模様。
20分も要りましたか〜?
20分も要らんすよ〜
えんえんパーティーのグダグダをやっていたので、映画の中の時間の流れはぶった切られてないのだと思いますが、途中で退席した主人公の彼女がお家に早く着きすぎw
どっか途中で遭難しているものと思いきや、しっかり部屋着に着替えた上で遭難してた。
低予算ということで仕方ないのかもしれんすが、軍隊の市街戦も設定も奇しくもこれまた2008年公開の『28週後』と似たような赴きながら『クローバー』が劣ってるかと。
まだ『クローバー』の方の軍隊は混乱していなくて、信仰ちうか、理想を捨てきれないというか、リアリティの部分で物語りが薄い感じがします。そもそも映画自体、パニック娯楽作丸出しなんで、そこは不満を述べるところではないのかも。
巨大怪獣が街を破壊して暴れてる間にも、巨大怪獣から生まれたミニ怪獣がその辺をウロウロして人間を襲っておるのですが、いろんなパニック物の恐いとこどりしたんだなぁ〜感が否めず。
巨大怪獣でディザスター的大破壊、人間大の虫っぽいのでエイリアン&ゾンビにどこから襲われるかわからない的恐怖。虫っぽいのに囓られると数分後に体が破裂!でゾンビに噛まれると的な感染への恐れ。
最期の方で巨大怪獣の顔が明らかになると、顔がおもしろ過ぎて怖さ半減。面白い顔の生物に街が破壊されるのはある意味恐いですが。ダメ過ぎ。
一番ダメなのは、ハンディカメラ感を出すための揺れ揺れ映像ですな。
映像酔いします。揺らしすぎです。黄色いねずみ病になります。
はっきり申しますが。時間返せw。
唯一気に入ったのは、撮影者のウザい若者。
空気の読めないおばかちゃんで意中の女の子からもばかにされてるですが、空気の読めないユーモアがなぜか一服の清涼剤になっておりました。彼のキャラは最高です。
『ダイアリー〜』の方も良かった!と、手放しで褒められる感じではないです。
最後のゾンビ打ちを楽しむ人々!などの、倫理観への投げかけが微妙で、ありゃ、どんな意味があるのかようわからんです。白人の自虐的な描写がけっこうあったのかな。
州兵が逸脱するのでも、黒人系は先を見越して組織的に動いており、情けもあり理性的。
白人系州兵はただの強盗とか。
ゾンビ打ちを楽しんでるおばかさんたちも、いかにもなテンガロンハットにネルシャツの田舎の白人オヤジ。
ジャーナリズム伝々は良かったですが、物語に社会的な風刺をてんこ盛りにしようとして方向を間違った気もしないでもないです。だって、映画のゾンビなんて絵空事だし。人種差別的な方面を絡めるのは無しだなぁ。
『ダイアリー』で良かった人物は
過激な人。サミュエルさんです。
途中、車が動かなくなったときに納屋を貸して協力してくれる耳の不自由なおじいちゃん農夫。
ダイナマイトを投げたりして素敵すぎる。得物は大草刈り鎌。最期も豪快でした。
世捨て人のロマンな映画科の教授もレクター博士風味でよかった。
あとなんといっても昔ながらのゾンビ。ゆっくりでかわいい(?)。
身内がゾンビになったら家の中に隠しておきますよね。手足は縛るだろうけど。
さすがロメロというべきでしょうが、観てはいるのでしょうがロメロ作品だと意識して観ていないので良く判らないw

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